11月7日

 二〇世紀初頭のお話。あるアメリカの有名な伝道者がヨーロッパ伝道旅行を大成功のうちに終えて、ニューヨークに帰りました。きっとたくさんのクリスチャン達が港まで迎えにきてくれていると期待してタラップを降りかけると、やはり大勢の人達が手を振ったり、大きな声で叫んだりしているではありませんか。ブラスバンドの奏楽も聞こえています。
 伝道者は予想以上の出迎え風景に感動しましたが、次第にこの人達が自分を迎えにきたのではないことに気づきました。それはたまたま同じ船にのつていたルーズベルト元大統領を迎える為のものだったのでした。では自分の町の信者達は駅前で出迎えてくれるだろうと思っていると、同じように大勢の人達がいましたがそれも大統領を迎える為と知った時、彼は一人淋しく自分の家に向いました。
 暗くなりかけた町の中を歩きながら「主よ、これは余りにも不公平ではありませんか、狩猟旅行者の大統領のためには盛大な出迎えがありますのに、神の御用のために遠くまで行った者には一人の出迎えの者もいないのはどうした事か」と泣きながら祈っていると、ご聖霊の声が心に響きました。「我が子よ、あなたはまだ自分の故郷に帰ってはいない」と。
 私たちの故郷は天国です。この世にあっては自らを誰も出迎えに出てくれなくとも、天の故郷に帰った時、主なる神様からのねぎらいの言葉が十分かけられる事を信じて戦い進み行きたい(ヘブル一一・一三~一六)ものです。