11月5日

 聖書の証言するイエス・キリストは、真の人であって神、真の神であって人であります。この事が「言は肉体となった」という事の意味と内容です。所がキリストの人性に対して最初に異論を唱え、否定したものはグノーシス主義者たちでした。
 彼らは肉体を悪とし、霊魂を善とするギリシャ的二元論の下に立っていました。故に、肉体が悪である以上、キリストが肉体をとるはずがない。キリストの肉体は実体ではなく仮現であって、ただ人の目にそう見えたに過ぎないと彼らは主張しました。紀元一世紀後半から四世紀迄ふえ広がった異端思想です。これに反論して書かれたのがヨハネ福音書とヨハネ第一書です。
 二世紀半ばこのキリスト仮現説を唱えて活動した者にマルキオンという人物がいました。彼によれば、キリストは神によって造られた物で、キリストの肉体は本当の肉体でないと主張したのです。改革者カルビンは、綱要の中でこの異端者マルキオンの名を挙げ、大変厳しい言葉で彼に反撃を加えているのです。
 現代では、「エホバの証人」を名乗る団体がイエス・キリストの神性を否定しています。彼らは、「イエスは神の子であるにすぎず、神ではない。神と同等ではない」といいます。大いに警戒しなければなりません。