11月28日

 世紀はA.D.(ラテン語 Anno Domini=主の年の略)が示すようにキリストの降誕をもって紀元としたのです。これは五三五年ローマの僧院長ディオニシウス・エレシグウス(A.D.五〇〇~五四四)が復活表を作る際にキリスト降誕から起算したものに始まります。しかし実際には六年の誤差があると言われます(新聖書大辞典、九三頁…キリスト新聞社)。
 聖書にはキリスト降誕の日付は記されていません。だからと言ってクリスマスを祝う風習は退けたくありません。その日が確定されなくてもイエスの誕生だけは忘れてはならないからです。降誕日を一二月二五日とする最古の記録は、アンテオケの主教テオフィマス(一七一~一八三)のものですが、これを偽作とする者も多いようです。初期キリスト教徒たちは信仰上の潔癖から、異教徒の狂そう的な祭りとキリスト教の神聖な祝いとが混同されるのを嫌って祝賀はしなかったようです。降誕の日付の確実な文献はドイツの史家、モムゼン(一八一七~一九〇三)によって初めて発表された三五四年のローマ教会の史家の筆になるものです。それまでは教会によってクリスマスはまちまちの日付で行われていました。グレゴリウス(A.D.三二九~三八九)は「クリスマスは俗悪でなくもっと謹厳な態度でお祝いすべきだ」と戒め、飲食、娯楽なども度を過さないようにと、さとしたと言われています。