11月19日

 宗教とは人間が神を求める工夫であり、工作であり、常に人間から神へという姿を示しています。しかし旧新約を通しての聖書の宗教は、逆に神が人を尋ね求める下降の図式を表しています。
 全聖書は、これ全て神が人を尋ね求めている姿を示しています。まず神側から罪の中にうめき悲しみ、絶えず争い、ねたみ、怒り、時には殺人に迄至る愚かな人間を、神は追い求め、これを救おうとしておられるのです。ルカ福音書一五章のいなくなった羊(三~七節)、失われた銀貨(八~十節)、いなくなった放蕩息子の 例え話にこの事が明らかにされています。
 ですからこの世の宗教が宗教なら聖書の宗教は宗教ではありません。それは宗教以外のものであり宗教以上のものです。聖書はこれを「福音=ふくいん」と呼んでいます。
 福音とは、もとは一般的によい知らせを意味する語で、子どもが生まれた知らせや戦いに勝った知らせなど、聞く者に喜びを与えるような知らせに関して、用いられました。
 聖書ではもっぱら新約において使われており、イエス・キリストによる神の愛を啓示しています。神の愛は罪人を助け、救おうとします。純粋な差別なき愛であり、無代価で与えられるものです。この愛によって救われたクリスチャンは、又自ら他者の為に祈り、他者の為にいのちさえも捨てる方向へと進んでいくようになるのです。