8月15日

 広島の原爆資料館には、そこを訪問した国内・国外の著名人の色紙が、最終コースの廊下に少なからず飾られています。その中にマザー・テレサのものがあります。彼女の書いたものに訳がつけられています。「広島に多大の苦痛をもたらした恐るべき罪悪が、二度と起こらないよう互いに祈り、愛と祈りの行為が平和の行為であることを忘れないようにしましょう。」昭和五九年一一月二三日 マザー・テレサ。
 一九八四年の西暦が元号に翻訳しなおしてあるのも日本的ですが、この訳は実は原文の前半部分が訳出されていないところも非キリスト教国らしいと、ある著名な牧師が指摘されています。すなわちマザー・テレサは「神が私たち一人一人を愛したように、私たちも互いに愛し合いましょう。そうすればここ広島に起こったような悲惨なことは起こりません。云々」という語が全く翻訳されていないと、同師は小さな怒りに燃えて著述されています。確かに肝心要めの聖書の言葉は省かれていく日本の精神風土です。
 国家間における真の平和も互いに愛するところから築かれていくのですから、キリストの人類愛に根ざさせねばなりません。神の愛、イエスをこの地上にまで賜った主の愛に立って特に政治家は行動を起こさねばなりません。テレサが「神がわれらを愛したように」と発言している所がカットされているのは残念でなりません。