7月3日

 バプテスマは、ギリシャ語で「浸水する」という意味の動詞からきた名詞であります。この行為は、原始キリスト教会成立以来、教会においてキリスト教徒になる「証印」として(第二コリント一・二二、エペソ一・一三、四・三〇)行われてきた礼典であります。水に体を浸し、身体を洗うことが、清めあるいは新生という宗教的意味を持つという事例は、古今東西に珍しくありません。
 キリスト教会のバプテスマの起源として、一般的には旧約聖書及び古代東方における事例が考えられますが、直接の先がけをなしたのは、クムラン教団のもと、洗礼者ヨハネのほどこしたバプテスマです(マルコ一・九~一一、マタイ三・一三~一七、ルカ三・二一~二二)。
 これはイエス自身が受けられたものとして、一層重要です。しかしイエスご自身はバプテスマを授けられませんでした。授けるのは弟子たちでした (ヨハネ四・ 二)。イエスは復活後、使徒たちに対し、あらためてバブテスマ授与を命じ、また福音宣教を命じられました(マタイ二八・一九、マルコ一六・一五)。このヨハネが洗礼者と呼ばれたことは、彼がバプテスマをその宗教活動の中心にしていたからです。
 現代のキリスト教会が洗礼式を行うのは、こうした歴史的な伝統とキリストのご命令に従っているのです。初代教会では家族も受洗したとあります(使徒一六・一五、三三)。