6月28日

 一九九九年二月、フランスシコ・ザビエル展が開催された折、「胸を開くザビエル」と題した絵が展示されました。彼が天を仰ぎながら胸元を聞き心臓に指をとめている姿が描かれていました。つまりザビエルが自らの心臓を取り出してまで、すなわち命をかけても伝えたかったのは何であったのかを問い掛けているような絵でした。
 一五四九年八月一五日、七週間の航海を経て彼は鹿児島に上陸しました。その折、領主・島津家の菩提寺(ぼだいじ)の住職と問答した時、「日本人の魂を救うため」というザビエルに、老僧は「一文の利益にもなりませんのに」と問い返したそうです。これに対し彼は「一人の魂を救うために、それだけの苦労と犠牲をしのぐ価値があります」と答えたといわれます。
 さらに山口で領主・大内義隆に高価な贈り物をもって会見しましたが、お返しにと出された金銀をすべて辞退しました。大内の「わが国の僧は金銀を欲しがるのに貴僧はなぜ辞退されるのか」の問いに、「私が願うのは金や銀ではなくて、ただ魂の救いだけでございます」と布教の許しを求めたということです。
 いずれにしても一人の魂の救いの為、命がけで異教国日本に上陸した、先人の救霊愛に見習いたいものです。