6月21日

 全人類の真の父は、旧約聖書に登場するイスラエルの神ヤハウェであります。この方の本質は全ての創造者、歴史の支配者、指導者、生きていて働く神、永遠にいまして完全無欠の神、絶対不変、唯一にして真実の神、聖にして義、全人格的愛と憐れみ(へセド)の神、歴史的救済の神、語り、啓示する神などの特性をあげることができるのです。
 そして新約聖書においての神は七〇人訳聖書からセオス(ヘブル語のエロヒム)と呼ばれ数多く用いられています。しかし、主イエスによって最も瀕繁に用いられているのは「父…パテル」であります。イエスが神を父と呼ぶ場合、それは人格的な愛と権威とを意味する名で、人類一般の父であるのとは別な独自の関係を言い表すものとして用いられています。
 ヨハネ福音書では父と子が一つであり(ヨハネ一〇・三〇)、父は子によって自らを現し、み心を行い(同上六・三八)、語り、さらには裁きをも子にゆだねる(同上五・二二)と述べられています。
 パウロはセオスとパテルを交互に用い、パウロはこの両者を結びつけて用いています。セオスは新約聖書では常に<唯一の神>を示す言葉として用いられますが(マタイ二三・九、ローマ三・三〇、第一コリント八・四、第一テモテ二・五)、これをある場合はキリストに対して用いている場合もあるのです(ヨハネ一・一、二〇・二八)。