4月27日

 アブラハム夫妻に仕えていた女奴隷ハガルはエジプトの女性でありました。彼女の女主人サライは子供がいなかったので、当時の習慣にならってハガルによって子供を得ようとしました。ところがハガルは子を宿すと高ぶり、女主人を見下げ、軽蔑するようになりました(創世記一六・四~五)するとサライの嫉妬のまじったいじめが始まり、遂にハガルはサライの元から逃げました。彼女の環境はこれまでと異なって荒野であり、生きてゆく道を見失って途方にくれていたのです。その時主なる神はこの女奴隷を憐れみ、天使を通して語りかけ給いました。荒野の泉のほとりで彼女は主なる神に出会ったのです。
 人生途上における彼女の失敗と敗退、破れと惨めさ、悩みと困窮、そんな中にあってハガルは神の声を聞き、新たな勇気と希望を持ってわが子イシュマエルを出産しました(創世記一六・一五)。この時彼女は自分に語りかけられた主の名を「エル・ロイ」即ち、ご覧になる方(新改訳)、顧みられる神(新共同訳)、見ていられる方(口語訳)と呼んだのです(同上一三節)。ハガルは神より子孫繁栄の約束も与えられたのです(同一六・一〇)。
 人生の荒野でゆき悩み、途方に暮れるその時にいつもそばにいて奴隷女をも助けて下さった主なる神に、今日も信仰の目を注いで勝利の前進を続けたいものであります。