3月18日

 「人がその友のためにいのちを捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。」(ヨハネ一五・一三)
 一九五七(昭三二)年二月一〇日の夜、デンマーク船エレン・マークス号が季節風、荒れ狂う紀伊水道にさしかかった時、船の遥か前方に船火事をおこして沈みそうな機帆船を発見しました、そこですぐ様その船に近づき、やっと一人の日本人船員を助け出しました。
 しかし、その喜びも束の間、救命ボートからはしごで救助者を本船に移そうとした時、疲れきっていたその船員は綱梯子(はしご)の途中から、どっと海中におち込んでしまいました。その時、周りの船員を押しのけて激浪の海の中に飛び込んでいった一人の船員、ヨハネス・クヌッセン機関長がおりました。直ちに救命ブイは、そこに投げられました。けれども山のような大しけの彼はついに二人の姿をも消してしまったのです。
 二月という厳寒の海、大しけの波の中へ見ず知らずの日本人を助け出そうとしたこの三九歳の若き機関長の、国境を越えた愛を記念して胸像が立てられているということです。
 最近(二〇〇一年一月)の東京山の手線新大久保駅ホームから、線路内に転落した男を救いだそうとして犠牲となり亡くなった二人の勇気に溢れた方々のことが思い出されます。私達クリスチャンは神の愛、キリストの愛を知り、喜んでこの愛に押し出されて生活していこうではありませんか。