1月11日

 ローマ書八・一四節以下を見ますと神のみ霊によって導かれ、救われた者は皆神の子であって、み霊によって天の神様を「アバ、父」と呼ぶことができます。そしてキリストと共に神のみ国の相続人でもあります。何と言う特権を与えられていることでしようか。感謝したいものです。こうした身分、立場、すばらしさの故にたとい一八節のように、「今の時のいろいろの苦しみ」があっても勝利していくことができるのです。
 かつてナチ・ヒトラーの政権下にあって弾圧、拘留され殉教した一人の牧師にパウル・シュナイダー師がおります。彼は一九三七年一月のある葬式の告別の辞がもとで、ワイマール市(ベルリンの南東)の強制収容所に拘留されることになりました。しかし彼はこの収容所の中で他の収容者に対し、いつもキリスト教的希望と慰めと励ましの言葉とを語りつづけていったのです。収容所内にはいつもナチスの親衛隊旗がかかげられ、その側を通る者は脱帽の礼をとることになっていました。しかしP・シュナイダーだけはこれを偶像礼拝的敬礼として拒んだのです。その結果、光の透らない石炭部屋に監禁され、両腕を背中に廻してしばりつけられ、身体を窓の十字の桟にぶらさげられて半死半生の拷問を受けました。けれども彼は益々主なる神に身をゆだね、祈ることによって聖書のことばを語ることを止めませんでした。